しばらく更新しないと書いたばかりなのに・・・
ちょっと気になったことがあったので更新。

「六本木ヒルズの回転ドアに6歳男児はさまれ死亡」(朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0327/022.html

 回転ドアなんて、あんなもの、空調・暖房費節減という建物所有者側の都合を利用者に押し付けてるだけで、必要なんかない。
 あれは回転する前後のドアの動きに人間が身体を合わせなければならないので、普通の運動神経を持った大人でも、入って出るまで何かイヤな感じがする。入るタイミングもそうだし、後ろからドアが迫ってくるというのも、まるで人間がホウキで掃き出されるゴミみたいな感じ。
 回転ドアのタイミングは縄跳びと同じで、縄跳びも子供は慣れてからやっとできるものなのだ。(いつまでも慣れない子供もいる。) したがって子供や老人にとって回転ドアは、出入り口というより関門みたいなものじゃないだろうか。バリアフリーやユニバーサル・デザインというのは、子供も含まれているはずなのに。

 回転ドアはもともと外国の高級ホテルなどで使われているのを、日本でも真似して採用したのが始まりと思うけど、風・寒気除けや人の出入りの制御という目的の他に、高級ホテルという敷居の高さを象徴するものでもあったのだろう。子供が一人で出入りすることを想定していない高級ホテルなど、利用者が限られている場所で、そういう目的のために普通のドアと併用して使われるのは別にかまわないと思う。だがホテルでも、もし普通のビジネスホテルが回転ドアをつけたら、なんか勘違いしてると思われて客が寄り付かなくなるだろう。回転ドアそういうシロモノなのだ。まして子供も含め不特定多数が利用する場所では、全く必要ない。
 時代の先端をゆく商業施設で人を挟む回転ドアが使われるなんて、実は近代的装いの背景にある文化や技術の意識がけっこう貧困だったということなのだろう。

 ドアが回転するという、仕組みそのものに危険性が不可避に孕まれているものは、センサーを取り付けて技術的に制御するという次元のものではない。じっさい去年すでに、子供が挟まれてケガするという事故が起きていたわけだし。
 自動ドアは建物や車両の入口やエレベーターなど非常に多くの場所で使われているので、安全技術の蓄積も(=事故の蓄積も)相当にあると思う。もし挟まれたら、それがどの部位であっても接触センサーや圧力センサーが働いて、ドアが停止するだけでなく、逆戻りするという仕組みにもなっているはずだ。
 だが森ビルの回転ドアには、(ものにもよるけど出力にバラつきのある)赤外線センサーと、(去年の事故のあと取り付けたという)線や面ではなく点で作動する接触センサーしかなかったようだ。(どちらもハイテクでも何でもない。) しかもそれが効いたとしても、モーターを止めるだけで戻りの動作はせず、それどころか回転体の重量が大きいのでイナーシア(慣性)によって25cmも動くというのだから、驚くしかない。
 そしてけっきょくは今回、上部の赤外線センサーは身長の低い子供を検知できなかった可能性があり、子供が前傾した下向きの姿勢で飛び込んだせいか足元の赤外線センサーが感知できなかった可能性もあり、また部分的な守備範囲しかない接触センサーも働かなった可能性もあって、さらにはたとえセンサーが働いたとしても慣性によってすぐに停止しなかった可能性などにより、けっきょく挟まれることになってしまったのだろう。
 おそらくエレベータなどのドア制御をやってる他メーカーのエンジニアが聞いたら、あまりの粗雑な安全対策に吃驚するに違いない。

 こういう風に事故をあと追いで批判をするというのはあまり好きじゃないけど、けっきょく必要もない物を設置し、そのうえ安全性への対策を怠ったために子供が犠牲になったとしか思えないので、ひとこと言いたくなった。
 ということで、これから犠牲者を出さないように、世の中から回転ドアをなくそう!

       *

<追加>
今またこの記事を見て、唖然。

「回転ドア事故:六本木ヒルズの事故32件 対策が不十分か」(毎日新聞)
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20040328k0000m040074005c.html
 森タワーでは今回の事故前に計22件、回転ドアで負傷事故が起きていたことが分かった。うち子供が大型ドアに挟まれる事故は計7件あった。さらに六本木ヒルズでは森タワーを含め昨年4月のオープンから計32件の事故があった。

ちょっと信じられない。
この会社、感覚がちょっとマヒしてる。

       *
 
<さらに追加>

「六本木ヒルズ回転ドア、衝撃緩和の仕組み無し」(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040327i117.htm
 同じ会社で製造されている他のタイプの大型自動回転ドアはすべて、衝撃を緩和するためドア部分が動く機能が付いていた。販売元の「三和タジマ」と親会社の「三和シヤッター工業」は27日、同機能がなかったことが重大事故につながったとの見方を明らかにした。

 メーカーのサイトで製品紹介を見ると、たしかに衝撃緩和するタイプのドアもあるようだ。ただ、事故を起こしたスライドドア併用タイプは1種類しかなく、それには衝撃緩和機能は付けられていなかったということのようだ。
 やはり技術の問題というより、営業的な事情で価格を抑えるために安全性を軽視したものと思える。

 今回の事故で被害者にかかった圧力が記事に出てたけど、相当なものだ。大人でも完全に死ぬ。
 センサーで検知できなかったらあとは挟まれるだけ、あるいは感知しても慣性で25cmも動くというのは、考えただけでも非常にコワい。最悪ケースを想定してないメーカーの安全意識は、ほんとうに信じられない。そういう仕様のドアを設計に組み入れた発注者側にも、責任があるのだろうけど。

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索